明け透けな言い方をさせてもらえば、お寺は来てもらってなんぼ、です。東京からだろうが九州だろうが、お墓参りには来てほしい。お盆であれば尚更です。
年に一度この日だけ、参るという人がいます。老婦人一人もあれば、3世代家族が一緒に参る姿もあります。海外にいる息子と初めて参らせてもらいました、と挨拶に寄ってくださる。ありがたいことです。
ならば、墓参りにやってきた人が、やはり来てよかったと思ってもらえるお寺にしたい。毎年試行錯誤を続けてきましたが、今年のトピックは、山門の横断幕。モノトーンになりがちなお寺の景色に、鮮やかに色づけしたいと考案しました。お盆の迎え火・送り火をモチーフにしています。また、墓地では、墓じまいの跡地が寂しいので、5箇所に「大蓮寺から見える景色」の文学パネルを設置しました。近松門左衛門、谷崎潤一郎、織田作之助、司馬遼太郎ら文豪のことばの数々。巨匠たちも、同じこの墓地の景色に親しんだのです。芥川賞作家辻原登の小説に、大蓮寺が登場しているなんて誰もご存知ないでしょう。
去年同様、應典院を、休憩所として開放しています。昨年は400本出た無料ドリンクも今年は満タンに用意しました。炎天下、これほど喜ばれることはありません。内外に幼稚園園児が描いた作品も掲示していますが、不思議にマッチしている。
風鈴の音色が笑っています。本堂前の盆提灯が揺れています。やはり、お寺のお盆は来てもらってなんぼ、です。