AI時代と3つのカン。人間ならではの力を磨く。

(2018年07月31日 更新)

 人工知能(AI)が日進月歩の勢いで進化しています。間もなく100ケ国語の携帯サイズの自動翻訳機が実用化されるとか。そのうち外国語の勉強も無用になるのかもしれません。

 AIの圧倒的な記憶力、計算力に、人間はまったくかないません。それがどんどん進出すると、今の子どもたちが大人になる頃には現在の職業の半分くらいがなくなるとか。スーパーのレジ係とかタクシーの運転手さん、銀行の窓口など日常親しみのある仕事が近いうちにロボットになるのでしょうか。
 
 人口減による労働力不足を補うため、国を挙げて積極的にAI化を進めていますが、では人間はAIロボットの上司に使われるのか。外国語が使えても、コミュニケーション能力がなければ用をなさないように、そんな時代だからこそ、本当に人間固有の力とは何かが問われるのだと思います。
 
 ここでは人間独自の力として3つのカンを挙げましょう。まず「感」は楽しいとか悲しいとかを感じる共感能力、次の「勘」は「感」の経験から磨かれる「勘所」をいい、その上で初めて3つ目の「観」、大局観とかビジョンが体得されるといいます。感覚的であり、身体的であり、観念的であるもの。この3つのカンはAIでは決して代替できないのです。
 
 どれも勉強したから、身につくものではありません。まず「感」を楽しく受け入れる、言い換えれば毎日の生活に対する感動が大事であり、それをたしなみとか技といった身体的習慣にすることで養われていくものだと思います。若い感性だけがカンがいいのではありません。AI時代においては、長い時間を積み重ねてきた円熟の境地、練達の技術といったものが、本物の人間力として再認識されるのではないでしょうか。