4月8日はお釈迦様の誕生日。正式には「灌仏会」ですが、一般には「花祭り」が通称されています。
それに関しては、私の経験談があります。昨年の秋、所用あって初めてネパールに赴き、その折りに念願であった、お釈迦さまの生誕地ルンビニーをお参りすることができました。まさに、花祭りの聖地を訪れたので、心躍るものがありました。
しかし、インドの国境線にある彼の地は、ほとんど熱帯地です。イメージしたような花園はどこにもなく、むき出しの自然環境が荒々しく、優美さを感じるものはありませんでした。
期待が裏切られたと言いたいのでありません。日本のような四季に恵まれ、桜が咲きわたる情景とは無縁の、厳然とした風土の中にあって初めて釈迦の哲学=仏教は生まれたのだと実感しました。
各家々のお仏壇にも供花は必須なものとなっていますが、それは仏教の自然観、生きとし生けるものを尊ぶ生命観の現れと言われています。
お釈迦様は、その願いをもって花園を生誕の地とされたのでしょう。すべてが仏の種を宿しているという「山川草木悉有仏性」も、人間を自然の一部としながら、「あるがまま」を受け入れる「自然法爾」も、その証左です。
現代において特に強調したいのは、自然はそのまま無為に存在しているのではないということです。環境破壊や気候変動などどんどん人間によって侵害されており、今ほど自然との共生が求められる時代はありません。
花御堂に祀られる誕生仏は、お釈迦さま誕生の姿でありますが、それは同時に、自然を尊び、共にあれという人類の態度の表明ではなかったかとも思うのです。
浄土宗ぬりえリーフレットがあります
https://jodo.or.jp/nurie-lf/