今年も後わずかとなりました。 どんな思い出がありますか。
過ぎ去るものに対し、 反省や後悔は常にありますが、一方で感謝の念も忘れたくないもの。サービス社会では目にみえる利益に対し、「ありがとう」と感謝が伝えられますが、家族の思いやりや職場の支え合いなどあまりに当たり前になってくると、次第に「恩」に気づかなくなってしまうものです。
この一年、こうして元気でいられたことも、誰かのおかげがあってのことで、「恩」とはこの当たり前に改めて気づき直すことなのです。私たちは、親切を受けたら、 してくれた相手にありがとう、とお礼を述べますが、 当たり前になったご恩には、感謝の気持ちを伝えることを忘れがちです。逆に「してもらって当たり前」「もっとしてほしい」と欲どしくなっていないでしょうか。
大切なことは自分がどれくらい周りの人に支えられているか、どれくらい多くの「恩」をいただいているかと、恩を知ること=「知恩」なのです。仏教では「知恩」と「報徳」は一対の言葉です。周りから何かしてもらったら、その方へ感謝の恩返しは大切ですが、 さらに一歩先へ進め、 今度は「自分も誰かに恩を送ること (報徳)」をします。自分に出来ることで、 「恩を送る」ことができれば、家庭も社会も後世は豊かになるはず。「親の恩は子に送る」がそうでしょう。恩返しが、 誰かと誰かの恩の交換だとしたら、 恩送りは顔の見えない他者や、まだ見ぬ未来に向かって恩を循環させることです。子孫でもよし、地域社会でもよし、次の世代から 「ありがとう」といわれる徳を積んでいきましょう。
この一年、ありがとうございました。