正座・合掌・礼拝。身体文化は幼い時に。

(2016年11月25日 更新)

 先日、大蓮寺本堂にて「親子十夜法要」を開催しました(幼稚園共催)。浄土宗の十夜法要にちなみ、ご先祖さまへ報恩の誠を親子一緒に捧げていただくというのが趣旨。3部制でしたが、年少から年長まで21人の園児とその保護者が参加してくれました。

 少しこだわったのが、本堂式を正式に執り行うということ。参詣者は畳に正座をしていただき、各家ごとにご先祖のお塔婆をあげるということ。つまり、本式の仏教行事そのままに執行したのです。

 子どもはもちろん、若いご両親はご法事以外に、そういう行事には参ったことがないかもしれません。正座も近頃はめっきり機会がなくなりました。焼香は? 塔婆はどうやって薫じるの? 等々、日本の伝統文化にふれていただく機会となったのではないでしょうか。

 今、正座・合掌・礼拝(深いお辞儀)など、そういう日本人の身体作法がかなり後退してきているように思います。使わなければいずれ伝統や風習もいずれ退化します。例えば座法は、靴を脱がない欧米にはない文化ですから、畳上での座り方を今から意識して伝えておかなければ、身の処し方にも困るのではないでしょうか。

 世はグローバル化の渦中にありますが、そうなればなるほど、英語だICTだという前に、まず身体の自然な構えだろうし、素朴な動きを優先すべきでしょう。身体文化に理屈はありません。それが日本人が世界に伝えるアイデンティティなのだと思います。

 パドマ幼稚園の子どもたちは合掌、正座、それに般若心経も同称十念もきちんと称えることができます。この日は、お隣のお父さんお母さんもそれがちょっぴり頼もしく見えたのではないでしょうか。