寺院消滅? 3分の1の寺院が消えるのか。 

(2015年06月08日 更新)

鵜飼秀徳さんの「寺院消滅」(日経BP)を読んだ。地方の衰退とともに、日本の寺院が消えていく実態を描いたルポだが、中に例の「消滅可能性都市」のリストが出て来る。それに当てはめると、「消滅可能性寺院」はどうなるか、という試算が興味を引いた。

それによると、全17万6670宗教法人のうち35%にあたる62971法人が消滅するかもしれない。伝統教団の内訳で見ると、高野山真言宗がトップで45.5%、次に曹洞宗42.1、天台宗35.8と続き、浄土宗は25.2%(ということは都市型ということなのか)という。日本創成会議の提言が本当だとすると、25年後には日本の寺の3分の1が「消滅」する。すでに2万を数える無住寺院、2000以上の不活動寺院など、その兆候は顕著に窺えると。

課題は、果たしてこういったデータが教団に活かせるのかどうか。寺院社会が変わろうとするのかどうか。試算をした国学院の石井研士さんが言っている。

 「戦後の都市化、過疎化、高齢化、少子化、核家族化といった地域社会や家族の構造の変化に、過去一度として対応できなかった宗教法人に、今回の危機を回避できる可能性は低い」

写真