11日秋晴れの下、ビッグイシュー(BI)の共同慰霊碑の建碑式がありました。2年越しでBIさんと相談しながら、実現に至りました。私にとって、2019年建立した「ともいき堂」の理念が一つ形を結んだ事になります。二重の意味でうれしい。
BIは元ホームレスの人々の生活・自立支援のために販売されるストリートペーパーとして知られます。20年前、大阪でスタートしましたが、これまでの登録者数は2009人、総売上は14億円を超えるといいます。日本を代表する社会的企業の仕掛け人・佐野章二さんとは20数年ぶりの再会となりました。
建碑式の後、難波や梅田の路上に立つ現役の販売員さんたちが語ってくれました。
「この仕事始めて3年は毎晩ネットカフェが寝ぐらだったが、去年からワンルームで暮らしている」。
訥々と語る言葉には、当事者でしか語り得ない複雑だが、率直な思いがあって、胸に来るものがありました。
「墓ではなく、碑というところで、自分は納得している」。
信心とか宗派とか横に置いて、ともかく安心できる場所ができたのだとしたら、それは何に増して幸いなことです。大蓮寺が取り組んできた永代供養墓とは明らかにスタンスを異にするが、それがかえって「ひらかれた弔い」の視界を広げてくれたように思います。
そもそも無縁社会における弔いは当山が久しく心を寄せてきたテーマでもありました。人は誰もが弔われる権利を持つのに、いろいろな事情や考え方の違いによって、十分なケアを受けられない人がいます。供養の姿が多様化する現代、新しい弔いのあり方が求められていますが、今回の建碑は、その一つの試金石となるのではないかとも思います。
もう一つ実はBI東京が同日同じように建碑しており、敬愛する吉水岳彦さんの光照院であることも僥倖なことでした。浄土宗のいう「ともいき」が少し誇らしくも感じられました。いつもサポーターとして駆けつけてくれる関西学院大学の白波瀬達也教授にもお礼を言います。
BIの慰霊碑には家名ではなくこう刻まれています。「友よ、やすらかに」。