浄土宗の「宗報」改め教化情報誌「和合」で、新連載が始まった。「お寺で始める社会福祉活動」。「お寺が地域により身近になるために」社会活動導入を勧めている。おてらおやつクラブをはじめ6事例が紹介されているが、どれも浄土宗寺院が取り組む先行モデルがある。
社会貢献活動を教団が主導する、ということに異論もあるだろう。むろん自発性・自主性こそ重要であって、上の勧奨やお墨付きがあるから取り組むものではない。しかし、孤立しやすい地域寺院にとって、同じ仲間に先達がいるということは心強い。学校のお勉強とは異質の学びが生まれる。
これまでの教師養成とは、絶えずトップダウンの構図で運営されてきた。宗門大学しかり、養成道場しかり、各地区で行われる講習会、研修会のほとんど全てが、上からの指図で成り立っている。しかし、ちょうど市民教育が草の根から生まれたように、今、お寺の社会貢献という、教師養成の新たな学びが生まれつつあるということだろう。しかもこれは、「僧侶の資質向上」という最も大きな課題解決にも直結している。
浄土宗は上から発信しないと動かない、のではない。すでに現場は活発に動いているのだが、そういう草の根の動きを「単独行動」にとどめない、「公」の共通認識や承認も裾野を広げていく上で重要なことだと思う。
だから、連載はただの事例紹介で終わってはならない。誌面に問い合わせ先があるが、「何を問い合わせればいいのか」に至る情報が不足していないか。可能であれば、活動紹介をさらに掘り下げたネット情報を充実させてはどうだろう。他宗からの反応も期待できる。
上からの改革、ではなく、公と私が一緒に「共の活動圏」をつくろうとしている。期待したい。