コロナ漬けの日々、たまには気晴らしのお話を。大ヒット漫画「鬼滅の刃」です。その流行りぶりは、読んだことがなくても、周囲の子どもたちをみているとわかります。うちの幼稚園でもそうですが、幼いお孫さん世代だと市松模様の「鬼滅マスク」はお馴染みではないでしょうか。
かくいう私も(垣間見る程度で)よく知らないのですが、詳しい人(家族?笑)に聞けば聞くほど、相当に「仏教的」であると感じます。まずは、主要なキャラクターが、お念仏や阿弥陀経を唱えることにびっくりですが、青い彼岸花や座禅・瞑想など仏教テースト満載なのです。(余談ながら、これまで仏教と漫画というと、マンダラ的な真言系が多かったように思いますが、浄土教を扱うのは珍しいのではないでしょうか)
それ以上に物語の構造が、日本伝来の「仏教説話」の体系を取っていてることで、これが日本人に無意識にある仏教感覚?を呼び覚ましているのではないかと思ったりします。とくに思うことは、家族の「縁」の強さと、断ち切れない「宿業」について熱を込めて描いているところで、ある意味、敬遠されがちでもあった、旧来の日本的伝統(価値)を再生してヒットしているといっていいでしょう。
それはなぜか。私は背景にコロナの影響による「伝統の再発見」があるのではと感じています。
1年が経って、緊急事態慣れといわれるほど、コロナシフトの生活が慢性化しました。リモート仕事や外出規制が常態化して、逆に家族や共同体の見直しが進みました。三密で外ではつながれないから、一番基盤にある家族のつながりの尊さに気づいたともいえるでしょう。「鬼滅の刃」の主調は、逃れられない血縁への愛憎です。
戦後社会では、成長とともに、血縁家族が個人の自由を束縛するといわれた時代もありましたが、アフターコロナには、反対に個人を支える家族のありがたさが再評価・再認識される時代となるのではないでしょうか。当たり前に回帰していくのです。
さて、間もなくお彼岸の結縁を迎えます。彼岸とは本来仏道修行週間をいいますが、それが日本的にアレンジされて先祖供養・お墓詣りの習慣となりました。「鬼滅の刃」でも、象徴的にお墓・お墓参りの場面が多数登場します。それが影響するかどうかは別にして、縮んでいくとされた家の伝統は、実はしぶとく生き残り、コロナの後の若い世代の感性によって引き継がれていく可能性は高いと、私は感じたりしています。
漫画「鬼滅の刃」全23巻(!)、ぜひ一読されてはいかがでしょうか。よかったら、「鬼滅」トークで盛り上がりましょう!(笑)。