驚くような年初となりました。元旦に襲った能登半島地震、続いて2日は羽田空港では日航機が滑走路で衝突炎上するという大事故が発生しました。あれから一ヶ月です。
事故の詳細は省きますが、日航エアバス379人の乗客乗員はご存知の通り、全員が救出されるという奇跡的な生還劇でもありました。世界中のメディアから「ミラクルな避難」「乗務員の素晴らしい死仕事」と称賛を集めました。
一部の報道では、いよいよ脱出となった際に、女性や子供を先に、という声が乗客から起きたり、「私たちはいいから、若い方からどうぞ」と親子連れに譲った高齢夫婦がいたとも聞きました。汗まみれになりながら自発的に避難シューターの補助役を務めた人もいました。乗客もまたミラクルだったのです。
ある乗客は「日航の避難指示や乗客優先の姿勢は実に立派だった。私はこれからもJALに乗りたい」とインタビューで答えていました。
我先に殺到して、パニックとなってもおかしくない状況で起きた奇跡はなぜでしょう。
一つは日航乗員のプロ意識と行動です。聞けば半分はまだ新人のCAだったそうですが、猛特訓を受けた通り最大の危機対応を果たしました。また機長と副機長2名は最後まで逃げ遅れた乗客がいないか広い機内を探索し、最後に脱出したのは衝突から18分後だったそうです。ベテランも新人も、さすが日本を代表する企業です。
もう一つあげるとたら、乗客の大半が日本人であったことでしょうか。国際線で果たして同じ行動ができたかどうか、指摘する評論家もいました。日本文化としての秩序や規律、あるいは思いやりの精神がこういう火急の現場で発揮されたと私は感じます。わかりやすくいえば「一人ではない。みんなで生き延びよう」という共業(ぐうごう)の精神です。一人は弱い存在だから助け合う、気遣い合う、誰も取りこぼさない、という心が無意識に生じたのではなかったでしょうか。能登半島の被災者の行動もまた然りです。
いま世界は動乱のただ中にあります。企業の不正も目立ちます。が相次ぎます。古臭い言い方かもしれませせんが、今一度「日本と日本人のつよさとたくましさ」を守らねばならないと感じさせられた年初ではありました。