真面目な人ほど許せない? セロトニンとお念仏の功徳。

(2023年06月13日 更新)
完全ではないにしても、長かったコロナ禍が終わりました。振り返れば、最初の一年は得体の知れない不安が国民を襲い、過敏なほど疑心暗鬼となりました。
「自粛警察」が横行し、「マスク警察」「帰省警察」「ワクチン警察」など、異様な行動もありました。ルール(自粛要請)を守らない相手が許せない。程度問題もあるでしょうけど、中には「他府県ナンバーの車を傷つけたり」「マスクしていない人を罵倒する」といった攻撃事案もありました。
今なら苦笑いで済ませられるかもしれませんが、時局的にせよ私たちは他者を信じられなくなったり、監視したり、怒りの対象としてしまったのは事実です。それは、誰にもある隠された心理なのかもしれません。
ある心理学の知見によると、「真面目な人ほどルール違反が許せず、自らの損失を省みず、攻撃的になる」傾向があるといいます。なぜでしょうか。
精神科医の和田秀樹さんは、そうした行動には、脳内分泌物のセロトニンの不足に起因していると指摘します(「マスクを外す日のために」)。セロトニンは感情のバランスを調節する分泌物なのですが、コロナ禍にあって、不規則な生活や、睡眠不足、イライラ感が続き、それが低をついて、突然の激怒や攻撃のスイッチを入れたというのです。
では、頭の中のセロトニンをどうしたら活発化できるのでしょうか。日光浴や食物や適度な運動などの要件もあるようですが、私はお墓まいりやお念仏もそうではないかと考えます。
お墓やお仏壇の前で手を合わせ、世事を離れて、至心にご先祖様に報恩の感謝を捧げる。お念仏を唱えていて、怒りが収まらない人はいないでしょう。一度自分を現実の渦中から外して、冷静な心、客観的な心で見つめ直してみるのです。
怒りの感情とは、相手の問題ではなく、あくまで自分の問題です。「私はどうかしていたな」と素直に反省できれば、それもまたお念仏の功徳ではないかと思います。