完全ではないにしても、長かったコロナ禍が終わりました。 振り返れば、最初の一年は得体の知れない不安が国民を襲い、 過敏なほど疑心暗鬼となりました。
「自粛警察」が横行し、「マスク警察」「帰省警察」「 ワクチン警察」など、異様な行動もありました。ルール( 自粛要請)を守らない相手が許せない。 程度問題もあるでしょうけど、中には「 他府県ナンバーの車を傷つけたり」「 マスクしていない人を罵倒する」といった攻撃事案もありました。
今なら苦笑いで済ませられるかもしれませんが、 時局的にせよ私たちは他者を信じられなくなったり、監視したり、 怒りの対象としてしまったのは事実です。それは、 誰にもある隠された心理なのかもしれません。
ある心理学の知見によると、「 真面目な人ほどルール違反が許せず、自らの損失を省みず、 攻撃的になる」傾向があるといいます。なぜでしょうか。
精神科医の和田秀樹さんは、そうした行動には、 脳内分泌物のセロトニンの不足に起因していると指摘します(「 マスクを外す日のために」)。 セロトニンは感情のバランスを調節する分泌物なのですが、 コロナ禍にあって、不規則な生活や、睡眠不足、 イライラ感が続き、それが低をついて、 突然の激怒や攻撃のスイッチを入れたというのです。
今なら苦笑いで済ませられるかもしれませんが、
ある心理学の知見によると、「
精神科医の和田秀樹さんは、そうした行動には、
では、 頭の中のセロトニンをどうしたら活発化できるのでしょうか。 日光浴や食物や適度な運動などの要件もあるようですが、 私はお墓まいりやお念仏もそうではないかと考えます。
お墓やお仏壇の前で手を合わせ、世事を離れて、 至心にご先祖様に報恩の感謝を捧げる。お念仏を唱えていて、 怒りが収まらない人はいないでしょう。 一度自分を現実の渦中から外して、冷静な心、 客観的な心で見つめ直してみるのです。
怒りの感情とは、相手の問題ではなく、あくまで自分の問題です。 「私はどうかしていたな」と素直に反省できれば、 それもまたお念仏の功徳ではないかと思います。