怒らないことで怒りに勝つ。 ブッダの教え。

(2022年11月15日 更新)

あらゆる怒りは、理性という自分を破壊するエネルギーの爆発です。権力者の怒りは戦争を始めるし、上司の怒りはパワハラの温床です。
当事者間だけではありません。怒りは両者以外の周囲の人にも負のエネルギーをまき散らします。和やかなところに、怒っている人がやってくると、雰囲気がたちまち悪くなりますね。いい迷惑ですが、怒りの波動は、ごく普通の穏やかな心をも破壊してしまうのです。

一時流行った「倍返し」のように、怒りに対し弱者がやり返したいという気持ちもわからないではありません。それでその時はスカッとするかもしれませんが、しかしまた次の怒りに備えなくてはならない。怒りに怒り返していると、怒りはさらに増幅され、いつまでも終わることがない。人類の歴史を見ていても、怒りの連鎖は、しつこく続いて止むことがありません。

私の幼稚園の職場に、まったく怒らない女性幹部がいます。私なんぞしょっちゅう内心怒っているのですが、彼女は怒らない状態を意識的に維持しているように見えます。「(幹部の)私が怒っても、相手にも、職場にも、私自身にも何の得もありませんから」。これは見習わなくてはならない態度です。こちらが怒らないことで怒りに勝つということでしょう。

お釈迦様の有名な言葉に、「戦場で100万の敵に勝利する者より、自分自身という一人に勝利する者こそ、真の勇者である」とあります。
本当の敵は外ではなく、煩悩渦巻くわが心にある。そのわが心が本当の勝利を得るには、どうあればよいのか。まず、怒りに対し怒り返さない。怨みに対し怨み返さない。激した感情に負けるのではなく、どんなに周りが騒がしかろうが、自分らしさを失わず、ただ心を落ち着かせようと。至らずとも、肝に銘じるべき教えです。