お寺の墓地が消えていく? 伝統へ新しいチャレンジを届ける。

(2017年12月20日 更新)

関西初のエンディング産業展に行ってきました。葬儀や供養の大規模見本市で、会場のインテックス大阪には多くのブースが出展していました。
 
会場を眺めると現在の「業界」の動きがよくわかるのですが、寺院墓地のディベロッパー(墓地販売代行社)の暗躍には考えさせられました。
 
檀家が離散し、墓地管理が立ち行かなくなった地方のお寺に持ちかけ、墓地を整備して分譲する。「寺院消滅」の時代、「需要喚起」に熱心なのでしょう。「○○寺○○霊園」がすでに全国に拡大していて驚きました。
 
宗派不問ですから、霊園の墓を求めた人が檀家になるわけではありません。墓は「売れて」も、所詮お墓だけのお付き合い。お寺に対する愛着や帰属がどこまで伴うのか、やがて外部のお客に取り込まれていかないのか。ふと心配になりました。
 
今、日本の寺院は危機的状況にあります。少子化や家族の多様化の影響は著しく、お寺の多くは厳しい局面を抱えています。一方メディアやネットには、効率本位の情報が乱立している。ですから左記のような商法が流行るのですが、寺院側にもそのための対策や措置に手をこまねいたまま、業者に取り込まれてきた責任があるのではないでしょうか。
 
無論守るべき伝統は固持しなくてはならない。が、同様に時代や社会の変化をとらえ、葬送の新しい形を見据え、今求められる方法や選択を打ち出していくべきではないでしょうか。
 
当山は15年前から生前個人墓や永代供養墓を建碑、お寺での家族葬や生前契約のシステムも導入してきました。変化する地域社会にお寺が何らかの提案を届けていく、そのチャレンジが伝統のあり方をゆっくりと変えていく、と考えているのです。