うちのお寺、おもしろそう。「伝心」にこめた願い。

(2016年09月10日 更新)

副住職が編集した大蓮寺だより別冊「伝心」が発行となりました。文字は小さめですが、漫画やインタビューなど、若い檀家さんに読んでいただくことを想定しているようです。発行のわけは、改めて菩提寺を知っていただきたいから、恐縮な言い方ですが、大蓮寺の檀信徒としての自覚を促したいからです。

菩提寺とは「先祖代々のお墓を守り、葬儀や法事を営むお寺」のことをいいます。一部の観光寺院を除けば、日本の大方のお寺は菩提寺として、檀家さんのご先祖様をお祀りする役割を担ってきました。檀家さんにとってはわが家のお墓のある菩提寺は代々継承されるものであって、寺と檀家の間柄は信頼関係で長く結ばれてきたのです。

しかし、社会の目まぐるしい変化に、お寺も無縁ではありません。少子化が加速して、家が絶える、お墓が絶える。亡くなった方との縁者が薄くなれば、仏事の必要性も低減していきます。利便性だけを求めれば、最近話題の「Amazonのお坊さん便」のように、インターネットで依頼したほうが気楽かもしれない。このままだとお寺と檀家さんの関係は、急速に希薄になっていくのかもしれません。

菩提寺に対する親しみがなければ、檀家としての自覚も薄れます。檀家であるから彼岸や施餓鬼など行事に参加もするし、年回法要を計画することもできるのですが、お寺の敷居が高ければ、今の若い人には、疎遠になる言い訳になってしまうでしょう。

「伝心」には難しい記事は一切ありません。巻頭はいろいろな檀家さんに登場していただき、菩提寺とのつき合い方を述べてもらい、また見開きページは(ちょっと大胆な企画ですが)今の若い世代には取っ付きのよい漫画で構成しています。

お盆の棚経に参った、何軒かの若い檀家さんから「伝心、楽しく読ませてもらっています」とお声がけいただきました。「うちのお寺、おもしろそう」。まずはそこから、わが家の菩提寺に関心を持っていただければありがたいと思います。