生きることは「表現」。子どもたちの音楽発表会を終えて。

(2016年02月13日 更新)

一昨日幼稚園の音楽リズム発表会が閉幕した。400名の園児の歌や合奏はすばらしく、またそれを育む見守る先生たちのよろこびも美しいものだった。

発表会の冒頭、私は客席を埋めた保護者にこんな話をした。

 

「発表会の目的はいうまでもなく、表現力の発露です。表現力には3つの要件があります。これを表現したい、しないではいられない〈思い〉であり、それを具体化ならしめる〈わざ〉であり、そしてそれをやってよかったと充足される〈よろこび〉です。幼稚園的に言い換えれば、〈思い〉はつまり子どもの意欲、心情、態度といった内面の育ちであり、〈わざ〉とは園生活で積み重ねてきた活動や習慣の定着といえましょう。そして〈よろこび〉とは同じ舞台で成し遂げた仲間への信頼感であり、それは客席の家族の笑顔や拍手によってさらに充たされていくのです」

いや、たまたま子どもの発表会に臨んでそう言ったのだが、考えてみれば、われわれが生きること、暮らすこと、仕事をすること、すべて、〈思い〉〈わざ〉〈よろこび〉の三重奏で成り立っているのではないか。〈思い〉とは生きることへの希求であり、〈わざ〉とは生きる技法とか型といってもいい。〈よろこび〉とは他者との共感であり、わかちあいだ。

そう思うと、生きることも仕事をすることも、「表現」なのだ。子どもたちの熱演に胸を熱くしながら、ふと自分たちの「表現」が枯れてはいないかと、足下を見直す。

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