魂にふれる ─ 大震災と、生きている死者 ─ 若松 英輔 著

「生者は死者と毎日を生きている」「このことは、学説の真偽とは別な次元の事実として認識しておかなくてはならない、と柳田(国男)もまた警鐘を鳴らす」。
大震災後、被災者のために多くの著作が世に出たが、そこに欠落していた視点は、「死者からの語りかけ」、コミュニオン(超自然的世界との交流)だった。
本書は哲学者、宗教者、文芸評論家、民俗学者など真摯に死を直観体験した事例を紹介しつつ、魂の実相、その霊性を見つめることで、生者と死者が永遠に交流する「協同」生命(魂)のメカニズムの実在性に気づかせてくれる。肉体次元の生が終わっても「決して滅びない霊性」の働きがそこから始まる。
「人は死なない、むしろ死ぬことができない」事実を本書は静かにしかし熱っぽく語る。

魂にふれる ─ 大震災と、生きている死者 ─
若松 英輔 著
●トランスビュー(2012年/1,800円+税)

(初出:2013年夏 サリュ・スピリチュアルVol.7)

書影