行動する仏教 ─ 法然・親鸞の教えを受けつぐ ─ 阿満 利麿 著

東日本大震災が発生した。その天災人災、とりわけ人災面にどう対処すべきか。著者は「危機になればなるほど露わとなってくる人間のえげつなさが、救われようのない絶望感、無力感を生み出して、やりきれない思いばかりが深ま」ると嘆く。
この「絶望と無力感に至る病」が原因を隠蔽し、事をうやむやに終わらせてしまう。環境保護運動に取り組むアメリカ人仏教徒J・メイシーは「エコ・セルフ」への大転換を求める。著者はそれを受け、仏教の先人たち法然親鸞を主軸に清沢満之、高木顕明、今村恵猛、京極逸蔵等の偉大な智慧と慈悲で「行動する仏教」に徹する「三つの提案」を示す。
社会苦を除くエンゲイジド・ブッディズム運動の継承と発展。国策による悪の是正に「直接民主主義」の導入。「政治の極にある宗教を見定め」ること。
かくて「善悪の差別」を超えた凡夫の行動へ。

行動する仏教 ─ 法然・親鸞の教えを受けつぐ ─
阿満 利麿 著
●筑摩書房(2011年/ちくま文庫)(1,000円+税)

(初出:2011年冬 サリュ・スピリチュアルVol.4)

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