現代人の祈り ─ 呪いと祝い ─ 釈 徹宗・内田 樹・名越 康文 著

「われわれは今深々の『呪いの時代』に踏み込んでいる」「ネット内での匿名で発言」「ハンドルネームを使って語」る顔のないやり取り。民主主義を盾に「『正義の実現』や『公平の実現』」を「攻撃的な文脈によってのみ語」る政治家など、呪いの発信元はいろいろな様相を呈す。
呪い、このマイナー思考に陥ち込んだ人々が気づかねばならぬ想念は「予祝」「祝い」「祈り」だ。
仏教では「布施」、「自分の持っているものをシェア」して「利他の精神を発揮し」、「愛語(よく調えられた言葉)」で「他者の畏れを取り除」く。それが「予祝」真の「祈り」。
精神科医名越と釈の対談では「魂の痛み」について語られ、鼎談では現代人の顔と対比しつつ宗教の巨人、法然・親鸞・道元・日蓮らの肖像画に宿る強烈な「心的エネルギー」を探る。

現代人の祈り ─ 呪いと祝い ─
釈 徹宗・内田 樹・名越 康文 著
●サンガ新書(2010年/850円+税)

(初出:2012年冬 サリュ・スピリチュアルVol.6)

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