寺よ、変われ 高橋卓志 著

江戸時代いらい「伝統仏教は、あまりにも長く、あまりにも怠惰に檀家システムの上に胡座をかいていた」ので「時代に沿った改善や、時代に対応する新しいシステム構築ができていない」と嘆く。
1978年、ニューギニア西部ビアク島に慰霊行した著者は初めて「死の風景」と出逢った縁起により、大乗仏教はいま何をなすべきかの原点に立った。爾来「日本仏教」再生への眞摯な問い掛けと行動が続く。
仏教の社会参加に正面から挑む姿は積極的能動的で勇気と智慧に満ちている。変革の元は常に自己改造に始まる。少子高齢化社会でのホンネの生き方、医療・環境問題にも鋭く切り込み、「伝統仏教が『葬式仏教』と揶揄され」人の死が「葬儀社主導」となった現況にレッドカードも。本書は「瀕死の寺の再生」に尽す勇猛果敢な人生と社会変革の書だ。

寺よ、変われ
高橋卓志 著
●岩波新書(870円+税)

(初出:2010年秋 サリュ・スピリチュアルVol.2)

書影