「公共空間では、異なる宗旨、もしくは『無宗教』を自認する人に出会う」。そこでは「横軸の相互作用」が求められる。「心の相談室」を開設した臨床宗教師岡部健氏は医療に「超宗派の宗教者の協力」を得た。連携者金田諦應住職は「傾聴移動喫茶」を立ち上げ、現場から信仰の再構築を目指す。松島靖朗住職はインターネット寺院「彼岸寺」を活用し「未来の住職塾」に関わり、仏教者の情報交換の場を運営。若手宗教者達もそれに続く。ネット、フリーペーパー、宗教落語、ゲームなどのメディア活用で寺、地域の開発に新しい価値を見いだす。一方、釜ヶ崎ホームレス地区では個人と向き合い、無縁意識を救済すべく闘う宗教者の激しい苦悩と忍耐を伝える。座談会では尼崎コミュニティFMに宮司・住職・牧師が登場。宗教色を意識させないラジオ媒体の良さを語り合う。
宗教と現代がわかる本 ─ 2013 宗教者ニューウェーブ ─
渡邊 直樹 責任編集
●平凡社(2013年/1,600円+税)
(初出:2014年春 サリュ・スピリチュアルVol.8)