仏教教理問答 ― 連続対論 今、語るべき仏教 ― 宮崎哲哉 著

利他主義とは「社会通念に照らして、困っている状況にあると判断される他者を援助する行為で、自分の利益をおもな目的としない」と定義するゆえに「諸宗教が、利他主義、他者への思いやりと実践に関する教えを持っている」。「現代社会には、犯罪、貧困、環境問題、自然災害、テロリズムなど多くの問題が山積している」が、いま多くの人は「従来のような行政システムに頼」らず「『利他』性に富む市民社会」を目指した活動を展開している。
著者は欧米の慈善事業、ボランティア、利他主義の実態を取材、分析検証した事例を報告。日本の「宗教の社会貢献活動」も紹介する中で今回大震災に見られた「おかげ様や恩返し」の強い念いがベースとなる「『無自覚の宗教性』にもとづいた『共感縁』」という利他心にも大いに期待を寄せる。

仏教教理問答 ― 連続対論 今、語るべき仏教 ―
宮崎哲哉 著
●サンガ(2011年/1,600円+税)

(初出:2012年春 サリュ・スピリチュアルVol.5)

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