不干斎(ふかんさい)ハビアン ― 神も仏も棄てた宗教者 ― 釈 徹宗 著

時代はその様相に従って必要な人物を世に送り出す。不安定不透明な時代、人々は絶対の価値観を求める。
ハビアンは混迷の時代を駈け抜けた仏教界の異端児、いや時代を先取りした合理主義者だったのか。
禅僧から改宗してキリシタン護教者、仏教儒教神道批判書『妙貞問答』を著し、林羅山と対決2年後突如棄教、女と失踪。死の前年にキリシタン批判書『破提宇子』を書くハビアン。
著者はその起伏と謎に富む生涯と二つの著作に綿密な照明を当てる。
新村出、遠藤周作、山本七平などの様々な評価を紹介分析しつつ、ハビアンの宗教家としての着地点を探る。そこには「スピリチュアル・ムーブメント」との共通項も見えるが、苦悩するハビアンの実相とは……。

不干斎(ふかんさい)ハビアン
― 神も仏も棄てた宗教者 ―
釈 徹宗 著
新潮選書(1200円)

(初出:2010年冬 サリュ・スピリチュアルVol.1)

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