伝統仏教こそ日本人の「心の遺伝子」が受け継ぐ「かけがえのない故郷」だが、現状は「葬式仏教」専業のネガティブな姿を晒している。
この「かけがえのない伝統仏教」をポジティブな存在に戻したい。
自らも「仏教ルネッサンス塾」を開催し、そのためにも著者は6人の僧と寺院への巡礼に出た。神宮寺、應典院、青松寺、法然院、福聚寺そして有馬実成。
そこで出逢った僧侶たちはみな、一度はネガティブな人生と向き合うことで「かけがえのない自己と故郷」を発見、脱皮した。その「論理を超えた」体験を詳細に紹介しつつ「現代の〈ホトケ〉探しはいちど『故郷喪失者』となった私たちが、再び私たちの生きる共同体を形づくる過程」と認識し、その縁起の中に日本の伝統仏教の可能性を視る。それはまんざら捨てたもんじゃない! と。
がんばれ仏教! ーお寺ルネサンスの時代ー
上田紀行 著
●NHKブックス(1,160円+税)
(初出:2010年秋 サリュ・スピリチュアルVol.2)