なぜ寺院は公益性を問われるのか 全国青少年教化協議会附属臨床仏教研究所 編

2007年、臨床仏教研究所が創設された。その社会的背景に二つの喫緊の課題があった。
一つは葬式仏教への危機感。もう一つは寺院活動公益性に伴う優遇税制の漸次撤廃への方向性。この時代の流れをシンポジウムと論文で現状分析し、今後の活動形態を示唆する。
まず現役僧侶・NPO活動家、学者らによって寺院「公益性」の現状報告と提言がなされる。教育・医療・家族と社会倫理の崩壊、地域コミュニティの復活、環境問題など社会に山積する課題をどう受け止め、公益性を念頭にどう展開していくかを討議。
論文では死者供養・先祖崇拝などの祈りの公益性、それに伴う葬式仏教の役割、世俗面の再評価、タイ社会の仏教活動に見る日本仏教のあり方などが提言され、公益性と寺離れを追求していく。

なぜ寺院は公益性を問われるのか
全国青少年教化協議会
附属臨床仏教研究所 編
●白馬社(1,800円+税)

(初出:2010年秋 サリュ・スピリチュアルVol.2)

書影