オジサンたちのカスハラ。 相手に対する敬意と受容。

(2024年07月17日 更新)

サービス業の全国組織による初めてカスタマーハラスメント(客が企業・店に対して行う理不尽なクレーム・言動)調査がありました。対面で大声をあげる、長時間拘束する、返金のみならず謝罪のお金まで要求する等々、度を超したカスハラのため休業や閉店を余儀なくされたケースもあるとか。役所でも、対策の一環として職員の名札にはフルネームを控えるといった動きもあります。
調査では、カスハラの実行者は中高年男性が75%を占めており、オジサンたちの蛮行は世間の顰蹙を買っています。定年退職組の男性は特に危険信号とか。
なぜなのでしょうか。日頃の鬱屈や、お客様至上主義、果ては女性従業員に対する見下し等々、いろいろありそうですが、私は特にリタイアした人たちの「役割なき役割」から生じる怒りや不安が底辺にあるのではと考えます。

これまでの人生、全てが上司=部下の関係がありました。何事も上から指示・命令・注意をする役割があった。それに慣れきった行動や態度がリタイアした後も、「一言言ってやる」に至り、クレームやハラスメントになっていく。一人の人間としてではなく、いつまでも「客という役割(権力)」を履行したいのです。
私たちは消費に世界だけに生きているわけではありません。人間関係は、お金の売り買いで成り立っているのではありません。相手に対する敬意や尊重の心、もし店員さんに非があったとしてもそれも受容できるような、そんな体現者が人生後半期の高齢者の役割ではないでしょうか。
お寺には、上下がありません。上にいるのは阿弥陀様とご先祖様のみ。ただ奉るだけですがすがしい気持ちになれるのは、役割にこだわらない人にだけわかるものかと思います。