真夏の猛暑に耐え抜く。 季節感の道しるべ。

(2022年07月26日 更新)

猛暑が続きます。ある日、幼稚園の保育室の音読の詩「夏の空」が掲示してありました。
「きょうの日記に書いたこと。夜明けの紅雲光ってた 昼間は白雲、ひつじ雲 午後には峰雲わいてきた‥」と以下続きます。「雷」「虹」「夕焼け」「花火」「カシオペア」等々と夏空をめぐる数々の表情が描かれるのですが、それがなぜ失われた情景のように感じてしまうのは、私だけでしょうか。
コロナに追い打ちをかけて、6月には早くも猛暑日となり、7月には連日35度を超えるといわれます。子どもたちは熱中症を恐れて、夏空を見上げるような経験も乏しくなってしまいました。春夏秋冬の季節感が遠くなって、今やリスクばかりに関心が向いてしまいます。
現代の夏空は、焼け付く太陽と、土砂降りの雨しか連想できなくなっているのではないでしょうか。私たちが子どもの時代、春夏秋冬の自然の移ろいを肌で感じたものでしたが、今では、身体で感じる季節感が遠くなって、リスクばかりに関心が向いてしまいます。
お寺の年中行事は、歳時記のごとく何十年何百年とその季節に開かれてきましたが、今となればそれも貴重な「季節感の道しるべ」といえるのではないでしょうか。春秋の彼岸、夏のお盆、浄土宗には豊穣の秋を感謝する十夜もあります。年末年始のお墓参りは欠かさない方は多いでしょう。いつもの決まった伝統行事を毎年くりかえしながら、皆人生という季節を重ねていくのです。
季節の肌感覚は乏しくなっても、身近なお寺の年中行事を通して、季節を確認したり、追体験しているといえないでしょうか。行事や法会、あるいは故人の法事も、季節という自然の時間を私たちに示してくれているのかと思います
しかし真夏のお墓参りは、くれぐれも熱中症には気をつけてくださいね。