一陽来復。檀家さんと笑いあえる日まで。

(2021年01月20日 更新)

1月17日、大蓮寺の初講の法要を開催した。緊急事態宣言中なので、お参りは減るだろうと思っていたら、逆に微増してしまい、こちらから確認の電話をするほど。いつも思うのだが、おなじみの檀家さんには「心の習慣」は早々変えられないものだ。

仏教界では近頃、「法事が減った」「葬儀が減った」と話題だが(立派な調査研究もある)、コロナ以前からあったわけで、突然の現象ではない。それを嘆くより、山門を閉めるような事態の中で、各お寺がどんな模索を続けたのか、それに耳を傾けるべきではないか。

去年の緊急事態宣言中には、うちのお寺でもいろんな試行錯誤があった。墓参りもままならない中で、まず「法務ガイドライン」を配布し、「オンライン法要」「マスク配布」「(単身者への)お手紙」、さらに「YouTubeチャンネル」、「病魔祓いのお香」まで、いささか乱れ打ちだったかもしれないが、お寺から呼びかけを続けた(應典院はオンライン終活相談を続けた)。檀家さんから今でも「あの時はありがとうございました」とお礼をいただく。
その結果かどうかはわからないが、私の実感として、ご法事は2割未満の減、お葬式は最小人数で皆さん実施された。マスク、消毒と換気以外はほぼ普段通り。お寺は自粛していません、と今も発信を続けている。
今も2回目の緊急事態だが、気分は昨春のような深刻な不安はない。ワクチンも具体化してきていて、人々の間に「あともう少し」という思いが浮かぶ。ご先祖様への敬意や感謝も募ってくる。そういう時に、お寺のことを思い出してくれたらいい。

初講に話を戻す。当日の参詣は30名ほど。お馴染みさんが揃った。万全の対策の上、中身も縮小して、けれどいつも通り開催できたことがうれしい。日常の維持が今は救いにも感じる。当日はちょうど阪神淡路大震災の27回忌にもあたり、みなさんでお念仏を申した。

住職挨拶はいつもより短めに、「一陽来復を願う」と述べた。今はつらくとも、必ずよろこびが巡ってくる。檀家さんがうんうんとうなずいて聞いてくれた。
「おっさん、6月の知恩院さんの団参、楽しみにしてますで」
そうやね、去年キャンセルやったもんね。綺麗になったお堂をみんなで参りたいね。
そうみんなで笑い合う日を迎えられるよう祈りたい。南無阿弥陀仏。