新元号と五重相伝。幸福を考える。

(2019年05月07日 更新)

令和となって、正月が再来したような賑やかさである。若者はともかく、中高年にはもう少し落ち着いた過ごし方がよい。時代の変わり目は、人生をふりかえり、また見通す好機だども思う。

門中のお寺で令和となって初めての五重相伝が始まった。五重とは浄土宗特有の道場で、その奥義を五つの次第によって伝授するもっとも重要な法会である。5日間、僧俗ともになって礼拝と聞法行に励む。
お寺にもよるが、住職一世一代の法縁とも言われるし、参加する檀信徒も熟慮を重ねてのことだろう。毎日、遠方を寺まで通い(昔は泊まり込み)、朝9時から夕方4時半まで缶詰状態なのだから、それはそれで体力もいることだろう。住職から頼み込まれて、参加という人もいるのかもしれない。
しかし、と思うのだ。初日最初の第一席で、勧誡師(説教師)は、野太い声で、こう説いた。
「五重とは、我々にとってまことの幸福とは何か、極楽往生の教えをどう信じるか、確信できるか(どう死ぬのか)、そのための道場である」

せっかくの10連休、こうした深遠な問いに没入することも人生において意味のあることだと思う。

*当山でも住職17年ぶりの五重相伝を、令和2年5月2日〜6日開催の予定です。