聖地、蘇る。 子どもが歌った輪番御忌大会。

(2018年05月28日 更新)

 4月28日、大蓮寺の境内で輪番御忌大会が開催されました。お寺としては7年ぶりですが、今年はパドマ幼稚園の創立65周年も重なったので、年長児130名が協賛出演となりました。

 境内には、大屋根の改修なった本堂前に張り出し舞台や、子供たちのためのひな壇など大仕掛けな舞台を設けました。7ケ寺出勤の御忌法要に始まり、園児たちによる音楽法要、さらに「いのちの理由」の歌唱など、まさに伝統の中に現在が息づく、すばらしい内容とすることができました。

 私はこんなことも感じました。ふだんの境内は幼稚園の園庭であったり、駐車スペースであったりするのですが、この日、屋外に法要の場を設けたことで、一気に込み上げてくるものがありました。この土地に塗り込められた「記憶」というのでしょうか、大蓮寺の歴史がフツフツと蘇ってきたのです。

 そもそもパドマ幼稚園の創立は文教の大蓮寺を発祥とし、戦前まではここに七堂伽藍があって多くの学僧たちの学び舎であったことに依拠しています。境内のあちこちから、修行僧たちの念仏が聞こえてきたかつての「聖地」。当日の僧侶と園児の群声は、この場所の古層に眠っていた時間を呼び覚ますにふさわしいものだったのではないでしょうか。

 また、伝統的な儀礼と、幼い人たちの歌声が共振することで、いにしえの時間が今現在に、あるいは未来につながった気がしました。いのちというものは単独で始まり、単独で終わっているのではありません。老いも若きも、あるいは生も死もひとつながりの存在として成り立つという「縁起」の再発見でもありました。
 
 仏教と子どもたちの「コラボレーション」、その絶妙ぶりに心から感嘆させられたのです。