シリーズ:エンディングセミナー

2011夏 「遺族とグリーフワーク~『喪失』の時代をどう生きるか~」

グリーフワークとしての葬送を考える

( 2011年06月09日 更新 )

<開会14時(閉会16時)>
小谷さんは企業シンクタンクの研究者の立場から、長く葬儀や供養の観点を通して家族の行方を研究してきました。近年、葬式や墓など日本人の葬送が大きく変容していますが、それを人生最後の生活設計としてとらえなおす数々の著作でも知られています。同時に、仏教のしきたりや習慣にも詳しく、葬送を巡るお寺や僧侶の、新しい動きにも注目しています。少産多死が加速する今後の日本社会において、グリーフワークとして葬送の可能性とは何か、最新のデータなども交えながら、語り合います。近著は「こんな風に逝きたい〜ホスピスからお墓まで」

講師プロフィール


1969年大阪府生まれ。奈良女子大学大学院修了後、ライフデザイン研究所(現・第一生命経済研究所)入社。博士(人間科学)。「日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団」事業評価委員。立教セカンドステージ大学講師。 生活設計論・死生学・葬送問題を中心に研究、終末期医療から葬送までを生活設計の視点からとらえ「エンディングデザイン」を提唱する。著書『変わるお葬式、消えるお墓』(岩波書店)の中では、永代供養墓・合祀墓・生前契約・散骨・宇宙葬などのさまざまな事例や、葬儀先進国であるアメリカやイギリスの最新状況なども解説。他『おとむらい新世紀』(東京新聞出版局),『こんな風に逝きたい』(講談社)など多数。

開催情報

  • 開催日:2011年7月30日
  • ゲスト:小谷みどりさん 第一生命経済研究所主任研究員 

開催記録

エンディングセミナー2011最終回

去る7月30日(土)にエンディングセミナー2011最終回「グリーフワークとしての葬送を考える」が開催されました。講師には第一生命経済研究所主任研究員の小谷みどりさんをお迎えして、日本人の死生観や葬送の在り方とその変容について、最新のデータと国際比較を交えながらエンディングデザインについてお話いただきました。

前半部では、統計データを参照しながら、高齢者の死の増加、多死社会、病院死の増加など現代の日本社会にみる葬送の変容と家族の在り方の変化について解説いただきました。また欧米との比較の観点からは、日本人特有の「人に迷惑をかけない死に方」を求める傾向や、死別の悲嘆からの立ち直りが比較的早いことなどが指摘されました。小谷さんは、これらの背景には、日本社会が古来より受け継ぐ「死者が文化的に亡くならない」風土にあると説きます。つまり、お墓や仏壇にむかって死者に話しかけたり、好きなものを備えたりする慣習によって、死者と一緒に暮らしているという感覚が日本人の中には強く刻まれているということです。この日本独自の「死者と共存する装置」が、葬送つまり亡くなった人と向き合う時間を創出し、その時間がグリーフワークとなって死者ともう一度新しい関係を結んでいくということにつながるのはないでしょうか。

後半部では秋田住職との対談形式で、東日本大震災における犠牲者の葬送についても言及されました。そこでは、今回の震災を経験したことで、私たち日本人の葬送に対する意識が大きく変容したことが確認されました。参加者の方からも「お通夜や葬儀という葬送儀礼があることで、死を受け入れる準備に心をこめることができたことに助けられました。」とのご意見も。愛する人の看取りをどう迎えるか、そして自分の死をどう迎えてもらうのかは究極のテーマであり、その意味でエンディングデザインの重要性が再認識された機会となりました。