お墓は、要らない 高橋 繁行 著

確かに墓を必要としない人たちがネット上で増えている。
墓を選ばない人は散骨・手元供養・樹木葬などの葬送を選ぶ。そこには年間三万二千人に及ぶ無縁死者、自然に戻りたい願望者、先祖と分断された人々がいる。
著者は「家墓の歴史」を顧みつつ、現代人の葬送、墓、供養のあり方を探る。納骨堂を設けた天台宗東雲寺、共同納骨堂「舎羅林営」で供養する曹洞宗岡本寺、生前契約による画期的な個人墓「自然」を開設した浄土宗大蓮寺、骨仏で供養する一心寺などを取材し、今後の「供養ネットワーク」に大きな期待を寄せる。
家族形態の変化、社会環境と「制度疲労」による「先祖崇拝」を軸とした人間関係の崩壊。果たして「イエに代わる供養の共同体」は「自分の死後の住処」となり得るのか。「イエ墓を通した宗教意識」は本当に消失してしまうのか。本書はそんな現実に本音で疑問を投げかけ、真の縁起を求める姿勢が見える。

お墓は、要らない
高橋 繁行 著
●学研新書081(2010年/700円+税)

(初出:2011年冬 サリュ・スピリチュアルVol.3)

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