寺社近くで育てば幸福に? 歴史ある環境で、人間らしく。

(2017年05月24日 更新)

最近の新聞に、「神社仏閣の近くで育つと、幸せ感じやすい」という大阪大学の研究成果を発見しました(5月14日産経新聞)。小学生の頃、通学路や自宅の近所に寺院や地蔵、神社があったかどうか、その人が成人してからの現在の幸福度や他者への信頼度、地域への愛着度について訊ねたといいます。結果は身近に寺社があった人の幸福度は高いことが明らかに。

分析を担当した経済学者の大竹文雄氏は、「神仏や他人に見られている感覚を持つことで正直になり、人間関係が良好になるから幸福度が高まるのではないか」といいます。何となく心の奥に実感としてあるが、それがデータ分析によって明らかにされると、また感慨深いものがあります。当たり前過ぎて目を向けなくなったものに、新しい光を当て、その価値を再確認する。大事なことだと思います。
 
大蓮寺のある天王寺区は、200以上の寺社が並ぶ全国有数の「お寺タウン」ですが、同時に非常に人気の高い都心住居区でもあります。彼岸やお盆など数々の年中行事や祭があります。それがどれほど家族のこころを和ませ、絆を深めることか。教育や医療環境の充実は統計化しやすいと思うのですが、お寺がたくさんあることが、子育て環境としてよい効果を醸し出しているといえましょう。
 
人が生きていくためにもちろん衣食住は欠かせませんが、同時に良好な人間関係を育むものとして、歴史を感じさせる「時間資源」のようなものが必要ではないかと感じます。長い時間をかけて育まれるもの、あるいはつながっていくもの。先の論文では「この分析に信仰心が影響しているとはいえない」と指摘しているのですが、積み上げてきた先祖供養こそそうありたいと感じています。