仏教の語り芸に魅惑される。應典院で開催!

(2015年10月23日 更新)

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ポストオウムで始まった應典院の2015年は、これで締めくくりになる。「セッション! 仏教の語り芸」だ。釈徹宗先の練心庵と應典院という、大阪のふたつの仏教学舎の初の共同企画である。

 

そもそも芸能が死者の鎮魂や弔いを始原とすることはよく知られているが、とくに語りものは宗教儀礼から発祥していることが多い。とりわけ日本仏教は日本文化・芸能の揺籃であり、あらゆる芸能のルーツとされてきた。

今回は、日本仏教が布教の中で発達させてきた「説教」と、日本独特の語り芸である「能」「落語」に注目し、そこからもっとも仏教的な演目を取り上げている。死者の鎮魂、弱者の嘆き、仏への讃歌…他界から響く声とパフォーマンスに、魅了される。

最大の特徴は、古典と現代の新たな表現を同時上演して、いまなお変貌しつつある仏教芸能の現在をとらえる。應典院は国立劇場ではない。伝統を権威扱いしない。

極上の仏教パフォーマンス、伝統と創造のセッション!なのである。

以下開催内容

第1回:11月25日(水)18:30開演(30分前開場)「教えを語る」

ゲスト 直林不退(節談説教・浄土真宗淨宗寺住職)チームいちばん星(現代説法パフォーマンス)

節談説教とは浄土真宗で育まれた特有の説教形態で、節・音声・身振りなどダイナミックな「情念の語り」として知られる。應典院では浄土宗ゆかりの熊谷直実の物語を語る予定。対して、北海道の若手僧侶らは音楽、映像、照明を巧みに活かしながら、現代の音声で聴くものの胸を打つ。

第2回:12月2日(水)18:30開演(30分前開場)「弱者を語る」

ゲスト 桂文我(落語家) 上田假奈代(詩人)

貧しさや病に差別され、排除されてきた弱者たちの声なき声を語ったのが、芸能者であった。上方落語の研究者としても知られる桂文我師は、四天王寺が舞台となる俊徳丸伝説「弱法師」を熱演、当地の宗教性を感じてもらいたい。また、釜ヶ崎在住の詩人、上田假奈代は、ドヤ街で喫茶店を支度しながら、おっちゃんたちと出会い、その声に呼応する。

第3回:12月5日(土)14時開演(30分前開場)「死者と語る」

ゲスト 安田登(能楽師)玉川奈々福(浪曲師)

能楽は現存する世界最古の演劇だが、「この世ならぬものの舞」としての面を持つ。謡曲は能の詞章であり、声楽にあたる部分であるため、いわば「死者の語り」でもある。現代の能楽師・安田登による謡曲「隅田川」と夏目漱石の「夢十夜」。死者の存在を語りによって際立たせ、幽玄の異界が現出する。一方、浪曲師・玉川奈々福は浪曲「陸奥間違い」をいきいきと歌い語り演じる(曲師:沢村豊子)。生と死の対照的な芸能が交じり合う声のセッション。

会場 應典院本堂ホール  大阪市天王寺区下寺町1-1-27
参加費 当日3,000円、前売一般2,500円、前売学生2,000円
主催 應典院
共催 練心庵
協賛 浄土宗大蓮寺

入場券はチケットぴあ、にて発売中。Pコード:630―950